有事法は不十分 練り直しを



  賛否両論が飛び交う有事法制3法案が国会で審議されている。
私は有事に備えるため、法整備をしておくことは、必要であるとは思っている。
しかし、今回の法案の審議を聞いていると、閣僚によって答弁が食い違ったり、官房長官の答弁が、前の答弁と正反対であったりと、政府答弁があまりにもお粗末で、これが十分検討された上での法案なのか、極めて疑わしく思った。

有事の定義が曖昧であり、「武力攻撃事態」と「周辺事態」との区分や「おそれの事態」 「予測の事態」に対する答弁に具体性が全くなく、自衛権の発動が、どの段階でなされるのか、日本領土が攻撃された時以外は皆目見当がつかない。
これでは、殆どの国民は理解できないのではないだろうか。

また、今回の法案は、従わないものには罰則を設けている。そして、国民への損失補償などは2年先を目途に制定するとしながら、防衛庁長官は、「補償義務は負わない」と答弁するなど、支離滅裂状態となってきた。

何も急ぐ必要はない。今回のお粗末な法案は廃案とし、補償なども盛り込んだ、国民に理解を得やすい法案に、根本から練り直していただきたい。

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